読みものお薬の管理
犬の薬の飲ませ方 ― 錠剤・粉薬・水薬のコツと、薬を飲まないときの工夫

動物病院でお薬をもらっても、家で飲ませようとするとうまくいかないことがあります。吐き出してしまったり、食べ物から薬だけを残したり、口を開けてくれなかったりと、つまずく飼い主さんは少なくありません。
この記事では、動物病院の解説をもとに、錠剤やカプセル、粉薬、水薬といった種類ごとの飲ませ方のコツをまとめました。犬が薬を飲まないときにできる工夫や、家族で飲ませるときに伝えておきたい記録の残し方も紹介します。
この記事のポイント
- まずは好きな食べ物に包む方法から。混ぜてよい食べ物と、割ったり砕いたりしてよいかは、お薬ごとに病院で確かめます
- 口に直接入れるときは舌の奥へ。水薬は口の横から少しずつ入れ、のどの奥へ勢いよく流し込みません
- 飲まないとき・吐き出したときは無理をせず、もう一度飲ませる前に処方した動物病院に相談します
この記事は、動物病院が公開している解説をもとに、家でお薬を飲ませるときの一般的な手順をまとめたものです。お薬によっては、食べ物に混ぜたり、割ったり、水に溶かしたりしてはいけないものがあります。
飲ませ方に迷ったら、かならず処方した獣医師に相談してください。
飲ませる前に、病院で確かめること
お薬は、種類や形によって飲ませ方の決まりが違います。一緒に与えた食べ物によって効き目が弱まったり強まったりすることがあり、みかん動物病院「お家での内服薬の与え方について」では乳製品や柑橘類を例に挙げています。
病気によっては、与えないほうがよい食材もあります。
また、錠剤を割ったり砕いたり、カプセルを開けたりすると、苦みが出たり効き目や吸収が変わったりするお薬もあります。アニコム損保「犬への投薬について」でも、形を変える前に動物病院に確かめるよう呼びかけています。
家で飲ませ方を工夫する前に、処方のときに次のことを聞いておくと、家族のだれが飲ませるときも迷わずにすみます。
処方のときに聞いておくこと
- 食べ物に混ぜたり包んだりしてよいか。避けたほうがよい食べ物はあるか
- 錠剤を割ったり砕いたり、カプセルを開けたりしてよいか
- 粉薬を水に溶かしてよいか。溶かしたものを作り置きしてよいか
- ごはんの前か後か
- 吐き出したとき・飲めたかわからないとき、もう一度飲ませてよいか
- どうしても飲まないとき、ほかの形(粉薬・シロップなど)に変えられるか
とくに5は、飼い主さんが自分で判断しないことが大切です。飲めたかどうかわからないからと追加で飲ませると、お薬を多く飲ませてしまうことがあります。
多く飲ませてしまうのを防ぐしくみや、まちがえたときの連絡のしかたは、犬の薬の飲ませ忘れと二重投与を防ぐにはにまとめています。
食べ物に包んで飲ませる
食べ物に混ぜてよいお薬なら、いちばん手軽なのは、病院で確かめた好きな食べ物で包む方法です。ふだんのごはん全体に混ぜるのは避け、少量で包んで食べきれる量にします。
ごはん全体に混ぜると、味を嫌がってごはんそのものを食べなくなることがあります。残したときに、薬がどれだけ入ったかもわからなくなります。
噛んで薬だけを吐き出さないよう、ひと口で飲み込める大きさにします。ゆずりは動物病院「お薬の種類別!お薬の与え方のコツ」では、薬の入っていないものを先にあげ、次に薬入り、最後にまた薬なしをあげると気づかれにくいと紹介しています。
薬を包みやすく作られた投薬用のおやつを使う方法もあります。いきなり薬を包まず、まず薬なしで好んで食べるかを試し、ふだんのおやつとしてときどきあげておくと、警戒されにくくなります。
犬は錠剤やカプセルを器用に吐き出すことがあると、まなび野動物病院「投薬方法(飲み薬)」は注意しています。食べ終わったあと、薬だけ口から出していないか、床に落ちていないかを確かめます。
錠剤・カプセルを口に入れて飲ませる
食べ物に混ぜられないお薬や、食べ物から薬だけを残してしまう犬には、口に直接入れて飲ませます。咬んでしまう犬や、嫌がって暴れる犬には無理をせず、「犬が薬を飲まないとき」の章を読んでください。
錠剤・カプセルを口に入れる手順
- 犬を落ち着かせ、片手で上あごを、犬歯のうしろあたりで軽く持ち、鼻先を少し上に向けます
- もう片方の手の親指と人差し指で薬を持ち、中指で下あごをそっと押し下げて口を開けます
- 薬を舌のつけ根あたりの奥に落とし、すぐに口を閉じます
- 口を閉じたまま、のどをやさしくなでて飲み込むのを待ちます。鼻先をぺろっとなめたら、飲み込んだ合図です
- 飲ませたあとは水を飲ませ、たくさんほめます
薬を舌の奥に落とすのは、舌の手前に置くと舌で押し出されやすいためです。ただし、指でのどの奥まで押し込むのは避けます。
みかん動物病院によると、誤って気管に入る(誤嚥)おそれがあり、肺炎などにつながることもあるためです。
口を開けるとき、鼻筋を強く押さえると息が苦しくなり、嫌がる原因になります。錠剤やカプセルは食道にくっつきやすく、水なしだと食道に残ることがあるため、飲み込んだあとに水を飲ませます。
ひとりで飲ませるのが難しいときは、家族に体を支えてもらうと落ち着いて進められます。小型犬の場合は、体をタオルで包んであげると動きが落ち着くことがあります。
なお、カプセルは表面が滑って口から出されやすいことがありますが、中身を出してよいかどうかは病院で確かめてから判断します。
粉薬・水薬(シロップ)の飲ませ方
粉薬はにおいや味が出やすく、嫌がる犬も少なくありません。病院で水に溶かしてよいと言われたら、少量の水で溶いてスポイトやシリンジで飲ませる方法と、少量の水でペースト状に練って上あごや歯ぐきに塗る方法があります。
食べ物に混ぜてよいお薬であれば、ウェットフードなどのごく少量に混ぜて飲ませることもできます。ごはん全体に混ぜてしまうと、途中で気づいて残したときにどれくらい飲めたかわからなくなるため、食べきれる少量に留めます。
水薬や溶かした粉薬をスポイトやシリンジで飲ませるときは、口を閉じたまま鼻先を少し上に向けます。ゆずりは動物病院の解説のように、犬歯のうしろのすき間や頬の内側など、口の端から少しずつ入れ、飲み込んだのを確かめてから次を入れます。
正面から入れると、口からこぼれやすくなります。まなび野動物病院は、のどの奥に向けて入れたり、鼻先を上げすぎたりするとむせやすいと案内しています。勢いよく流し込まず、少しずつ進めます。
犬が薬を飲まないとき・吐き出したとき

何度やっても薬を飲まないときも、押さえつけたり叱ったりするのは避けます。無理に口をこじ開けると、口の中を傷つけたり、薬そのものを怖がるようになったりすることがあります。
飼い主さんが緊張していると犬も警戒するため、おやつをあげるときと同じようにふだん通りの態度で、静かで落ち着いた場所で行います。ふだんから口のまわりを触られることや口を開けられることに慣らす練習をしておくと、薬を飲ませるときにも受け入れやすくなることがあります。
それでも飲ませるのが難しいときは、処方した動物病院に相談します。みかん動物病院の解説にあるように、飲ませ方のアドバイスを受けられるほか、粉薬やシロップなど飲みやすい形に変えられる場合もあります。
病院で直接飲ませてもらったり、注射のお薬を検討してもらえたりすることもあり、電話で相談を受け付けている病院もあります。
お薬を吐き出したときや、きちんと飲めたかわからないときは、自分の判断でもう一度飲ませないようにします。処方のときに聞いた指示に従い、聞いていなければ病院に電話で確かめます。
電話では、いつ、どのくらい吐き出したか(薬が見えたか)を伝えられるようにしておきます。
ぐったりしている、何度も吐くなど、いつもと様子が違うときは、すぐに動物病院を受診してください。
家族で飲ませるときは、飲ませたことを残す
飲ませ方にコツがいるお薬ほど、家族のだれかが苦労して飲ませたあとに、別の家族がまだ飲んでいないと思って重ねて飲ませてしまうことがあります。お薬を飲ませたら、時刻と飲ませた人を家族が見られる場所に残しておきます。
どの食べ物で包んだらうまく食べたかや、吐き出してしまったことも記録しておくと、次に飲ませる人も同じ手順をとることができます。担当の決め方や飲ませ忘れ・二重投与を防ぐしくみについては、犬の薬の飲ませ忘れと二重投与を防ぐにはで詳しくまとめています。
記録をつけていても、飲ませる予定の時刻そのものを忘れてしまうことがあります。予定の時刻に通知を出し、記録がないまま時間が過ぎたときにもう一度知らせてくれるしくみがあると、飲ませ忘れに気づきやすくなります。
種類ごとの飲ませ方の早見表
お薬の種類ごとの飲ませ方を表にまとめました。お薬の置き場所に貼っておくと、家族のだれが飲ませるときも同じ手順をとれます。
ただし、食べ物に混ぜる・割る・溶かすのは、病院で確かめたものだけにしてください。
| 種類 | 飲ませ方 | 気を |
|---|---|---|
| 錠剤 | 少量の | 割る・砕くのは |
| カプセル | 錠剤と | 滑って |
| 粉薬 | 少量の | ごはん全部に混ぜない。 |
| 水薬(シロップ) | 口の | のどの奥へ |
吐き出したとき・飲めたかわからないときに、もう一度飲ませてよいかは、お薬によって違います。かならず病院で確かめてください。

