読みもの散歩と体調

犬の夏の散歩は何時から ― 気温と路面の熱の確かめ方

夏の朝、玄関の戸を開けた人の後ろ姿と、リードをつけて座り、見上げている柴犬の雑種のイラスト。人の手にリードと水の入ったボトル、通りの向こうに低い朝日

犬の散歩は夏になると、何時に出かけるかによって犬の体にかかる負担が大きく変わります。人が外に出て涼しく感じる時間帯であっても、人よりも地面に近い位置を歩く犬にとっては、路面の熱が強く残っていることがあります。

この記事では、環境省や日本動物愛護協会などの情報をもとに、犬の散歩で夏に向いている時間帯や、気温だけで判断しないほうがよい理由、出かける前に路面の熱を確かめる方法をまとめました。家族で散歩を分担するときの時間帯の決め方や、日々の記録の残し方もあわせて紹介します。

この記事のポイント

  • 夏の散歩は早朝か夜に。夕方5時や6時でも、アスファルトの熱が下がりきっていないことがあります
  • 気温だけで決めず、出かける前に手のひらで地面に触れて熱くないか確かめます
  • 土や草、日陰の多い道を選び、水を持って短めに。出た時刻と天気を残すと家族で時間を決めやすくなります

この記事は、環境省や日本動物愛護協会などが公開している情報をもとに、夏の散歩の時間とコースの選び方をまとめたものです。子犬や高齢の犬、持病のある犬の散歩の時間や長さについては、個々の体調にあわせてかかりつけの獣医師に相談してください。

散歩中や散歩のあとにぐったりしているなど、いつもと様子が違うときは、すぐに動物病院に連絡してください。

夏の散歩は、気温より地面の熱に気をつける

夏の散歩で気をつけたいのは、気温の高さや空気の暑さだけではありません。環境省「防ごう!ペットの熱中症」によると、犬や猫は毛が密で体温の調整が得意ではなく、体高が低いため地面からの熱を受けやすいとされています。

環境省は、夏の日中の散歩や外出には熱中症や肉球のやけどの危険があるとして、早朝や夜など涼しい時間帯にするよう呼びかけています。

日差しを浴びた路面は、どのくらい熱くなるのでしょうか。日本動物愛護協会「熱中症について」は、真夏のアスファルトは50〜60℃になり、肉球のやけどが心配だと説明しています。

熊本県「犬を飼う場合における夏場の注意事項について」でも、猛暑の日のアスファルトは50度以上になるとしています。

人は靴をはいて歩き、顔や体も地面から離れた位置にあります。一方、犬は肉球で直接路面に触れ、お腹や顔も地面のすぐ近くにあります。

そのため、立っている人が「きょうは少し涼しい」と感じる日でも、犬にとっては地面の温度が高く、足もとが熱いままのことがあります。

夏の散歩は何時から?早朝と夜がよい理由

日なたのアスファルトの道の横にある、木かげの土と草の道を、柴犬の雑種と帽子をかぶった人が後ろ姿で歩いているイラスト

犬の散歩を夏に行う時間帯として向いているのは、路面が熱くなる前の早朝と、日没後に熱が引いた夜です。愛知県豊橋市のハート動物クリニック「夏場のお散歩の危険性」は、アスファルトは朝10時ごろから少しずつ熱くなり、17時ごろまで熱い状態が続くと説明しています。

夕方は特に気をつけたい時間です。日本動物愛護協会は、夕方5時や6時でもアスファルトの温度は下がりきっていないとしています。

日が傾いて空気が涼しくなっても、昼のあいだにたまった熱が路面に残っているためです。早く散歩をすませたい気持ちがあっても、犬の体を守るために人の生活の時間をずらして出かけることをすすめています。

犬の散歩を夜に行う場合は、路面の熱が引いていることが多い一方で、周囲の暗さに気をつけます。飼い主が足もとを照らすライトを持ったり、光るリードや首輪を使ったりすると、車や自転車から見えやすくなります。

時間帯路面のようす散歩のしかた
早朝日が高くなる前で、路面が熱くなる前夏の散歩の中心に。出る前に手のひらで路面を確かめる
日中朝10時ごろから17時ごろまで熱い状態が続く散歩は避ける
夕方5時や6時でも熱が下がりきっていないことがある出る前に路面を確かめ、熱ければ時間をずらす
夜熱が引いていることが多いライトや光るものを身につけ、暗い道に気をつける

時刻は目安です。天気や場所、日当たりによって路面の熱さは変わるので、出かける前に確かめてください。

散歩は気温何度まで?数字ひとつでは決められない

犬の散歩で気温が何度までなら出かけてよいのかは、飼い主にとって気になるところです。ただ、環境省や日本動物愛護協会の呼びかけは、特定の気温で線を引くのではなく、暑い時間帯を避けることが中心となっています。

日本動物愛護協会は、暑い時間帯のほかにも、湿度が高いときや道路の照り返しが強いときの散歩もやめるよう呼びかけています。同じ気温でも、湿度や日差し、歩く道によって、犬の体にかかる負担は変わります。

また、前の章のとおり、気温が下がった夕方でも路面の熱が残っていることがあります。天気予報の気温はあくまで目安として捉え、散歩に出る時間帯の気温と湿度、日差し、そして路面の熱をあわせて見ることが大切です。

犬の年齢や体の大きさ、毛の量、持病の有無によっても、暑さへの強さはそれぞれ異なります。愛犬に合わせた散歩の時間や距離については、かかりつけの獣医師に相談しておくと安心です。

出かける前に、手のひらで路面を確かめる

路面の状態を確かめる方法として手軽なのは、出かける前に飼い主が地面に直接触れて確かめることです。日本動物愛護協会も、手のひらで地面に触ってみるよう案内しています。

手のひらで触れて熱いと感じたら、犬が肉球で歩くには熱すぎると判断し、肉球のやけどを防ぐために時間をずらします。玄関の前だけでなく、散歩道で日当たりがよい場所のアスファルトや地面の温度も思い浮かべておくと、より落ち着いて判断しやすくなります。

朝の散歩であっても、日が高くなるにつれて路面は熱くなっていきます。涼しい早い時間に出かけ、帰り道の路面が熱くならないうちに戻れるよう、歩く時間を決めておきます。

道の選び方と、散歩中に気をつけること

夏の散歩では、アスファルトや砂利の道を避けて、土や草の多い道を選びます(熊本県)。ハート動物クリニックによると、草の上や土の道は、アスファルトより5〜10℃ほど低いとされています。

街路樹や建物の陰など、日陰の多い道を選ぶことも犬の足もとを守る助けになります。

ただし、草むらにはノミやマダニがひそんでいることがあるため、予防を忘れないよう熊本県は注意を呼びかけています。愛犬に合った予防のしかたについては、かかりつけの動物病院で相談してください。

夏のあいだは、散歩の時間をいつもより短くすることも熱中症の予防につながります(熊本県)。散歩中に水を飲めるよう、飲み水を忘れずに持っていきます(日本動物愛護協会)。

散歩の途中で犬が座りこむ、歩くのをいやがる、いつもと違う歩き方をするなど、気になる様子が見られたら無理に散歩を続けず、日陰で休ませて早めに帰ります。様子がおかしいときは、すぐに動物病院に連絡してください。

家族で散歩するときは、時刻と天気を残す

家族で散歩を分担している家庭では、人によって出かける時間がばらばらになりがちです。たとえば普段の朝はそらさん、夜はゆきさんが担当している家庭で、休日だけ別の人が昼に出かけてしまうと、モモにとってはその日だけ路面が熱い時間の散歩になってしまいます。

そのため、夏のあいだは「朝は何時まで、夜は何時から」といった共通の目安を家族でそろえておきます。そのうえで、散歩に出た時刻とそのときの天気を記録に残しておくと、帰ってきたあとのモモの様子とあわせて見返せます。

「この時間はまだ熱が残っていた」「あしたは早めに出よう」といった日々の調整も、記録を手がかりに家族で話しやすくなります。

出かける前に、この先の1時間ごとの気温の推移を見ておくと、何時ごろまでに出かければよいかの見当もつけやすくなります。

「きょうの天気」の画面。晴れ 18℃、最高 22℃・最低 13℃・降水確率 10%、その下に 17時から1時間ごとの天気と気温
ホームの「きょうの天気」の例。いまの天気、最高・最低気温、降水確率と、この先の1時間ごとの気温が出ます(inumemo。見本のデータです)。
散歩の記録。地図に歩いた経路、その下に「夕方の散歩」「10月6日(火)17:30 − 18:46」「小雨 19℃・湿度 82%」
散歩の記録に、歩いた時刻と、歩きはじめたときの天気・湿度が残る例(inumemo。見本のデータです)。

出かける前のチェックリスト

夏の散歩に出かける前に確かめておきたいポイントを整理してまとめました。玄関やリードを掛けている場所に貼っておくと、家族のだれが散歩に行くときでも同じ順で確かめられます。

夏の散歩の前に確かめること

  1. いまは早朝か夜か。日中や夕方の早い時間になっていないか
  2. 手のひらで地面に触れて、熱くないか
  3. 湿度が高い日や、照り返しが強い日ではないか
  4. 土や草、日陰の多い道を選べるか(草むらはノミ・マダニの予防も)
  5. 飲み水を持ったか
  6. いつもより短めの道にするか
  7. 帰ってきたら、出た時刻と天気、気になった様子を家族の記録に残したか

参考